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嚥下造影検査とは
(video fluoroscopic examination of swallowing :VF)
飲み込む過程や飲み込みの状況を評価するために行う検査です。
嚥下障害診療ガイドラインにおいてもゴールドスタンダードな検査と位置付けられている。
目的
- ①誤嚥が有るか無いかを判定する。
(飲み込んだものが誤って気管に入ってしまうこと)
②形態の異常や機能低下の程度、残留が有るか無いかを確認・評価する。
③安全な食形態と危険な食形態の判断を行う。
④体位や摂食方法などの工夫により改善が可能か確認する。
必要な機材
- ・X線透視装置(レントゲン撮影装置)
・録画装置(レントゲン録画機能・ビデオへの出力など、無い場合はビデオカメラ)
・車椅子台(車椅子だけだと低すぎて頚部が映らない可能性あり)
・嚥下造影検査用車椅子
・吸引装置(誤嚥時に使用)
検査食材の種類
水分
- トロミなし
薄いトロミ
中間のトロミ
濃いトロミ
食品
- ゼリー食
副食
ミキサー食
ソフト食
きざみ食
一口大
常食
主食
全粥
軟飯
米飯
その他
パンなど
造影剤の種類と特徴
①硫酸バリウム
嚥下造影検査では一般的によく使われる造影剤で、保険適応であり安い。
消化管造影検査で使われる造影剤である。
リスク:大量の誤嚥や濃度の高いものを誤嚥した場合は気管支の閉塞を起こす可能性がある。また、硫酸バリウムは吸収されないため肺に残存し続ける。腸の蠕動運動が低下している方は、稀にバリウムイレウス を起こすことがある。
4日後の腹部単純X線でバリウムの残留は75%確認できたとの報告あり
②ヨード系造影剤
非イオン性造影剤
浸透圧が生理食塩水とほぼ同じであり、誤嚥した場合でも安全性が高い。
通常は血管造影などに使用される造影剤であり、保険適応が無いうえに高価である。
製品:イソビスト、イオパミロン、オムニパーク、倍ステージ、オイパロミン、イオパーク、モイオパミンなど
5倍から10倍に希釈して使用する。
イオン性造影剤
浸透圧が高く、肺毒性がある事が確認されており、嚥下造影検査では使用を控える方がよいと言われている。
通常消化管造影に使用される造影剤である。
製品:ガストログラフィン、ウログラフィン、コンレイなど
検査時の姿勢
座位(30度、45度、60度、90度)
背臥位
照射の方向
側面
正面
誤嚥が有るか無いかの評価
Penetration-Aspiration Scale
- 1:気道侵入なし
2:声門上の気道侵入はあるが、排出される
3:声門上の気道侵入があり、残留がある
4:声門部の気道侵入はあるが、排出される
5:声門部の気道侵入があり、残留がある
6:声門下の気道侵入があるが、排出される
7:声門下の気道侵入があり、努力性の咳で排出される
8:声門下の気道侵入があり、努力性の咳でも残留がある
1:喉頭侵入なし
2〜5:喉頭侵入あり
6〜8:誤嚥あり
まとめ
嚥下造影検査は誤嚥の有無や治療方針を決定するために行う一般的な検査である。
食事形態の決定や変更の際には行うことが望ましいと考えられます。
誤嚥の有無に関しては、世界的に使用されているPenetration-Aspiration Scaleを使用することが望ましい。