セラピストに役立つ情報

誰も教えてくれない新人理学療法士の学び方

臨床実習で「臨床と学校で習った事は違うからなぁ。」と言われた経験は無いだろうか?

また、学校で習った事で臨床はやっていけるのだろうか?と不安に思っていないだろうか?

他に○○療法を習った方がいいのではないか?と考える新人理学療法士もいるのではないだろうか?

ここでは新人理学療法士が迷わない様に学ぶ為の手順が書かれています。読み終えた後には自分がどうすべきかが明確になっているのではないだろうか?



学ぶ事をどう考えるか?

理学療法、作業療法、言語聴覚療法は専門職であり、いわば職人である。一昔前の物作りや飲食などの世界であれば、まずは見て盗め!と言われたかもしれない。しかし、幸いにもセラピストは専門の養成校で基本となる部分は学ぶことができる。また、その知識は国家試験という場で確認されている。
では、基本となる知識を持ったセラピストは入職後にどの様に学べば良いのか?
そのヒントを説明していきます。

どう学んでいくか?

①先ずは普通を知る

普通を知らずに普通でない事は出来ない。
では普通を知るということがどういうことかというと、学校で習い、国家試験で確認した知識を臨床の場に落とし込んでいくことである。つまり習った通りにやってみることなのです。
具体的には例を挙げて説明しましょう。

関節可動域制限に対して

良い例
その原因を追求して、筋の短縮であれば代償動作が出ない様にストレッチングを持続的に行う。広がった可動域の部分はそれまで筋力を発揮してこなかった可動域なんで、筋力の発揮を確認して、発揮に問題があれば筋力アップを図る。

悪い例
ここで、陥りやすいのがマッサージを選択してしまう事である。学校では可動域制限に効果のあるマッサージという手技は学ばない。国家試験にも出題されない。しかし、マッサージを選択してしまうセラピストが非常に多い。

脳血管疾患に対して

悪い例
筋緊張を整える?という習った事も無い事をしようとしてしまう事である。
筋緊張は脳の損傷による影響を強く受け、運動の難易度や速度により影響を受ける。
筋緊張をどう調整するのか?

良い例
先ずは痙性麻痺の程度と影響を考えて、どの様な動き方が自立に最も近づくのかを考え、その運動を繰り返し行う。同時に廃用の予防のためのトレーニングと麻痺側の分離を促す運動や筋力を発揮する運動を繰り返す。

②技術の工夫が出来、個々にアレンジが出来る様になる。

普通を大切にしながらも、ハンドリングなどの技術を上げ、新たな知識を取り入れながら治療の組み立てができる様にしていく事である。
言い換えるなら普通を発展させていく時期である。
具体的には例を挙げて説明しましょう。

関節可動域制限に対して

例えば膝の可動域練習を行う際に、運動学的な要素を考え、持ち手の位置や力を加える方向や力配分・時間まで考えてアプローチを行う。

脳血管疾患に対して

動作練習の難易度設定を適切に行い、装具の設定や装具の種類により治療戦略を変更出来る。
また、理学療法がIADLや摂食にどの様な影響を与えるかまで考える事ができる。

③更に新たなものを作り、発展させる。

他の分野の知識を理学療法に取り入れたり、研究により新たに明らかとなった事を取り入れながら治療戦略を組み立てる。

まとめ

新人理学療法士が就職して先ずぶつかるのが何から勉強したらいいのか?ということでは無いだろうか。先ずは学校で学んだ知識を全て注ぎ込み治療戦略を組み立てることが出来るようになる事が大切です。
次にハンドリングの技術の向上や個別の特性に合わせた治療戦略の立案が出来るようになりましょう。
最後に他分野からの知識や研究結果を取り入れ、治療戦略を発展させていきましょう。